飛ぶ鹿

内側に目を向けて育てることで外側の行動も変わります。小さな一歩を積みかさねて。

わたしのテンポ 彼女たちのテンポ ぼんやりとつかんだ「わたしらしさ」

みなさん

いかがお過ごしですか?

 

いろいろな情報がでて

少し気持ちが揺れている方も

いるかもしれませんね

 

さて

あなたは最近誰かと

近い未来の

目標や

憧れについて

話したことはありますか?

 

今年は

いつもとは違う角度から

そういった話をした

という人も少なくないかもしれません

 

そういう

とても個人的なことを

話せる誰かがいる

というのは素敵なことですね

 

学生のころ

林間学校や修学旅行など

日頃と違う環境の中に入ると

日頃は決して言わないようなこと

言えないようなことを

なぜか唐突に話し合う

という展開になることがありました 笑

 

身に覚えのある方も

いるのではないでしょうか?

 

夢の事

 

理想的な社会

 

そういう

「目を見てはうまく言えないこと」を

横並びで座ったり

寝ていたりすると

トツトツと話してしまいたくなるんです

 

青春の1ページだなぁ 笑

 

 

数年前の夏

ちょうどそのような機会に恵まれました

 

それは大人になって

環境が変わり

誰ともそんな話は

しなくなっていたころのことでした

 

今でこそ

悔いのない人生を!と決めて

どうであれやるだけやってみよう!

自分なりにやってみて

わたしなりの方法で何か形にしよう!

と思い続けられるようになりましたが

数年前は

まだそのように

強く思い続けることができていない状態でした

 

結果にこだわり過ぎていたのだと

今は思います

 

その日

わたしは思いついて

ちょっと離れた場所へ出かけました

 

そこで

ある集まりに参加したところ

どの人からも

「これからこうしたい!」

「今は○○だけど、近いうちに○○するつもり!」

という

とても前向きで力強い話が

次々と

あちこちから飛び出して

あっけに取られてしまいました

 

新しい世界へ

 

新しい場所へ

 

新しい方法で

「飛び出していこう!」

 

そういうキラキラとした

女性の集まりでした

 

そのころのわたしには

まだ「これ!」というものがありませんでした 

 

そういうものがあったらと憧れながら

まだなにも見つかっていませんでした

 

そこで

「わたしもそうしたい

そう話せるものを 何か見つけたい!」

と感じながらも

いざ話を振られると

小さな声で

ちょっと的外れなことしか

言えませんでした

 

人に熱く語れるもの

 

好きでたまらないという情熱

 

そのころのわたしの中にあったのは

あっさりとした

日常へのささやかな感謝と

「このままでいいのかしら」

というかすかな疑問だけでした

 

人に

「〇〇です」

と名乗るようなものは

まだありませんでした

 

何に不満があるでもない

 

ただ

なんとなく感じている

「このままでいいのかな」

 

まだ盛り上がる中

わたしだけ

離れた場所からの参加だったので

一足早く席を立つことにしました

 

「またいつか」

帰りしな

誰かがそう声を掛けてくれました

 

名前も知らない人たち

 

その人たちに

少しだけ手を振って

その人たちの

キラキラとした夢や希望だけを持って

いつもの場所へと帰りました

 

話し始めてすぐに

彼女たちとの違いに

気づいていました

 

これが地元でのことなら

もっと重たい気持ちになったのかもしれません

 

けれども 

この日ばかりは

少し違いました

 

そんなことよりも

自分なりに

新たな形で

新しいことに

自分から動けた!

ということのほうが

ずっとずっと大切なことに感じられました

 

ひとりでも

やってみよう

 

うまくいかなくても

やってみよう

 

自分で決めて

自分で調べて

自分でここまで来ました

 

「外国にいくわけじゃなし」

 

旅慣れた人にとっては

ほんのわずかの移動距離だと思います

 

けれども

それさえもずっとしたことのなかった

わたしにとっては

その「ほんのわずかな移動距離」が

とても大きなことでした

 

「やるぞ!」と決めてから

今日までの全ての時間が

なんだか嬉しくて

誇らしくて

清々しい満ち足りた気持ちでいっぱいでした

 

時計を見れば

もう六時前というのに

暮れる前の

まだあかるい初夏の夕方

 

見慣れぬ町並みを

物珍しい気持ちで眺める

 

一瞬一瞬が

ただ楽しい気持ちにだけ変わるのが

自分でもわかりました

 

帰る道すがら

時折スマホの画面で帰路を

確認しつつ歩いていると

地元では見慣れない

けれども「ここでは普通のこと」らしいことに

1人でヒッソリ驚いたり

 

家族に電話をして

帰宅時間を告げると

「え?まだそんなとこにいるの?」

と驚かれたり

 

今までのわたしは

ひとりで遠出をしても

必ず夕方前には家に着くようにしていました

 

なんとなく

そうしないといけないと

自分でルールを作っていました

 

けれどもその日から

そんなこと気にしない

と決めました

 

「その時にしかできないこと」があるなら

「それを優先しよう」

 

たったそれだけのことを

やっと方針転換できるようになりました

 

離れた街から

電話口で驚いている家族に

「お土産は…」

と笑って電話を切りました

 

家族の気に入る土産物と

わたしの気に入った土産物を

両手にたくさんブラ下げながら

ちょっと慌ててホームを走ります

 

週末夜の自由席は

存外空いていました

 

「もしかしたら」と

混んでいても

片手でサッと食べれるサンドウイッチを選んだのに

 

「これなら駅弁でもよかったなぁ」

とこぼしながら

夜の車窓をそっとのぞき見しました

 

見慣れない濃紺の山や畑

時々現れる町のシルエットが

すごい速度で

ビュンビュンと後ろへ

流れていきます

 

食べ終えると

この先 出会っても

きっと思い出すことさえもできない

今日知り合った彼女たちのことを

なんとなく思い出しました

 

彼女たちがこの先どうするのか

どうなるのか

わたしにはわかりません

 

ただ

わたしは今日の事を

時々思い出すような気がしました

 

初対面の彼女たち

 

彼女たちはどうでしょう

 

今日のことを

思い出すのでしょうか

 

初対面の

わたしのことを

 

名前も知らない

わたしのことを

 

新幹線にひとりで乗る度

いくつになっても

「大人になったなぁ」

となんともいえない満足感を抱くのを

どうしても止められません 笑

 

たぶん

おばあちゃんになっても

 

そういう自分を眺めると

人にはそれぞれのテンポや方向性が

割とそれぞれ

ハッキリとあるものだな

このごろつくづく感じます

 

以前はあまり

人のことも

自分のことも

しっかりと見ていなかっただけかもしれません

 

わたしはそのころ

あることに

ようやく気づき始めたばかりでした

 

それは

毎日やちょっとだけ未来のことは

少しずつ

自然体で思い描くほうが

なんだかうまくいく

ということでした

 

うんと離れた

ずっと先の未来のことなんて

どれだけ考えてみても

結局はまるで違う方向に

進んでいくものです

 

短期間でも

慣れない

向かないも勉強をして

無理にでも

「年齢相応にできる感じ」になろうと

アレコレがんばっていたわたしは

なんだったのだろうと

ちょっと気が抜けていた頃でした

 

そんなことさえも

ずっと気づけずに

生きていました 笑

 

そうやって

あれこれ修正しながらも

ようやくつかみ始めた

わたしらしさ

 

それをとうに持って

その先にある

キラキラとした

未来や夢を語っていた彼女たち

 

その距離が

あまりにもかけ離れていることに

多少なりとも

置いて行かれたような気がしたのは事実でした

 

ただ

もう少し時が経てば

もっとはっきりとした

「わたしらしさ」が

わかるような気がしていました

 

それを彼女たちのようには

語れないかもしれなくても

 

彼女たちは

彼女たちのスピード生きていて

今日たまたまわたしと出会い

その流れの一部を

ほんの少し見せてくれたに過ぎません

 

「それについていこう」

なんてトンチンカンなことは

思わなくていいのだと

思いなおしました

 

旅先の効用かもしれません 笑

 

わたしの日々は

いつも急に早くなったり

ゆっくりになったりします

 

個人の流れは

それぞれ

その人だけのテンポで

進んでいきます

 

他の誰かと比べても

なんにもなりません

 

それは

鳥と犬が競争して

どちらが遠くまでいけるか

という話のようです

 

そんなこと

そもそも彼らは

思いもしないですよね

 

車内に訊き馴染みのある

到着のメロディが流れ始めました

 

いそいそと手元を片付け

両手に土産物を持って

忘れ物がないか確認して

見慣れた駅に降ります

 

帰ってきた

 

夜の駅で

両手いっぱいのお土産と

子どもじみた満足感でフワフワしながら

たどる家路は楽しいものでした

 

いつもの電車も

いつもの家も

帰ってくると

なおさら素晴らしいと

心から思いました

 

ひとり旅は

わたしをいつも

ノビノビと元気に

わたしらしくしてくれます